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毎日の院長 改め、日々雑感

週末の院長だけではご不満な方、新バージョンを作りました。

食べられるやろ、

(牛の解体についての、ショッキングな話が出てきます。気の弱い方は、読まない方がいいと思います。)


北海道で獣医師をやっていた時の話。
某田舎町で、診療をしていた。小さなと畜場があった。ふだんは、豚をいくつか、解体するくらい。経営は農協だったと思う。食肉にするには、と畜検査員、すなわち、獣医師のハンコが必要。共済組合を定年退職した先生が、老後のアルバイトで検査をされていた。

診療していた牛が具合が悪くなり、緊急と殺(本当は、切迫と殺、って言うんだっけ、なんか、専門的な用語があったはずだけど、忘れちゃった)することになった。
死んだ牛は、絶対食肉には回らない。抗生物質を使っていた牛なんかも、ダメ。牛の具合が悪くなった時、治療するのか、まだ食肉としてならそれなりの価値があるので、治療しないで食肉に回すのか(さんざん治療して痩せてしまったら、肉にも出来ない)の判断が、いわゆる産業獣医師に求められる時もある。その時は、畜主と話し合いの上、食肉として処理することになったんだが、遠くまで運ぶ余裕もなく、その小さなと場で処理することになった。

普通、牛の解体は、ピストルのようなものを頭に打ち込んで脳、脊髄を破壊する。こういう小さなと場では、その設備がない。床に設置された輪っかに「とうらく」(牛の頭に付けられた、鼻輪のようなもの)を繋いでひっぱり、頭を下げる。工事に使うような大きなハンマーで、頭部を一気にどついて、殺す。

牛の解体なんて滅多にないし、こういう仕事は農協の新人がやらされることが多い。汗をかきながら、足を震えさせながらお兄ちゃんが処理をした。(ちなみに、そのと場は、それからすぐに無くなってしまいました。)
あとは普通の処理場と同じように、足をぶら下げて放血して、内臓を検査台に載せて、獣医師が検査する。

片一方で農協職員が枝肉を処理しながら、片一方で獣医師が検査する。私(と先輩)は、診療していた手前、病気も気になって解体に付き合っていた。
肝臓の色が悪い。さすがに、これは廃棄に回った。
心臓に、青いハンコが押されている。すなわち、検査に合格の印。割面を見ると、弁膜症を起こしている。いわゆる、細菌性心内膜炎だった。要するに、細菌が全身を回っていたような状況だったんだろう。

「○×先生、これ、ちょっとまずいんじゃないですか?」
「いやー、焼いたら食べられるよ」
「でも、心内膜炎ですよ」
「そうかなあ、じゃあ、全廃棄」

残念ながら、食肉にも出来ませんでした。当時はそこには焼却施設もなく、大きな穴を敷地に掘って埋めていた、ように思う。(勘違いだったら、ごめんなさい。)



いつだったか、と場で実習をしていた。
検査員の獣医さんが、しっぽの皮を剥いて、細かな脂肪を熱心にはずしていた。さすがに専門家はこんなに細かなところまで調べるのか、と、感心していた。しばらくして、獣医さんに、どこがおかしいのか、聞いた。
「あ、いや、これうちの晩飯のおかず」





  1. 2011/05/09(月) 19:05:58|
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