毎日の院長

週末の院長だけではご不満な方、新バージョンを作りました。

クジラ、再び

マッコウクジラが発見されたという情報が来たのが、5月22日だったか。博物館の評議員会議で、評議員のNさんが確認に行ってるという情報が入って、盛り上がりました。博物館ではすぐに回収準備をして、責任者(?)の大阪港湾局と話をしたようです。ホネホネ団のMLでも、解剖の話一色になりましたが、肝心の解剖の具体的な話がさっぱり進みません。骨をもらえるのかどうかさえ、あやふや、というような話すら出てきました。
なんだかんだで、解剖の日が決まるまで、1週間かかりました。推測するに、肉の処理が決まらなかったのがその原因のようです。

有給休暇を取って参加するというメンバーも続出しましたが、ホネホネ団でよってたかって切り刻むというもくろみははかなく消え、博物館が休みの月曜日(学芸員が動きやすいため、かな)に、学芸員6名と、ホネホネ団から4名(といっても、3名は博物館で仕事をしているので、館と全く関係ない(?)参加者は私一人でした)の「少数精鋭部隊」で乗り込むことになりました。ちなみに、私はクジラ経験があることと、荷物運び要員で参加できたようです。

現地で最初にブルーシートを見た感じでは、なんや、こんなもんか、と言う感じ。これなら、一ヶ月ほど空き地に転がしているだけで骨になるんじゃないかとさえ、思いました。が、シートをめくって目の前にすると、やっぱりそれなりに大きい。においも、近づくと、それなりに香ってきました。

測定では、長さ9mほど。メスでは、ほぼ大人の大きさだそうです。重さは推定8トン、とか。(これは新聞報道なので、信用できるのかどうか。)

私は、ほかせる衣装に身を包み、長靴もほかして良いくらい古いもの。他のメンバーを見ると、胴長だったり、前掛けだったり、カッパだったり。胴長という発想は、私にはありませんでした。カッパ組は、暑いので最終的には脱いでいたようです。

報道屋さんが2名ほど来ていました。もらった名刺では、朝日新聞に、テレビ大阪。テレビ大阪はきれいなお姉ちゃん。一番、場にそぐわない格好?なぜか知りませんが、私に話を聞いてきます。だから、私は博物館とは関係ない、って言うんですが、学芸員はマスコミ嫌いなのか、あまり相手にしないので、私が代わりに返事していました。これからどうするんですか、とか、DNAも取るんですか、とか、展示するんですか、とか、いろいろ質問はされましたが、もっと勉強してからおいで、という質問も多く、確かに、こんなんに真面目に対応するのはたいへんそうです。

クジラはブルーシートに乗せられており、脂や「汁」が染み出していて、ツルツル。長靴も安物で古くてツルツル。スケートをしているみたいに滑りまくって、作業始まって早々に滑ってズボンはぐちゃぐちゃになり、体全部が香りに包まれました。手は手術用手袋に軍手でしたが、こっちも早々に、素手に近い状態になっていました。ちなみに、肉処理に来ていた方々は、白装束にメガネ、マスクという、完全装備。博物館組との対照がおもしろかった。

太地町からもらったという、大包丁で皮膚を切っていきますが、すぐに切れなくなります。また、使い方にもコツがあるらしく、切れたり、切れなかったり。私も何度か挑戦しましたが、重たいしうまく切れないので早々に諦めました。もっぱら、鈎で皮膚を引っ張る側に回っていましたが、鈎は自作で使っているうちにだんだん伸びてきて使えなくなってしまいました。道具というのはやっぱり、それなりの物が必要な様です。

途中で、皮をクレーンで引っ張りながら切っていくという手法で、作業効率は若干上がりましたが、それでも相手が大きいのでたいへんでした。皮を上に引っ張って下で包丁を使っていると、上から脂が降ってきます。鉤がはずれると、「汁」がぴしゃ。時間とともに、みんなえらいことに・・・・・・。

クジラの専門家から、時間のたったクジラは「爆発」に注意するように言われていました。確かに、皮膚を切ると内部の圧力で泡状のもんが出てきたり、何かがふくらんで出てきたりしましたが、「爆発」事件は起こりませんでした。残念?内蔵は胃の一部を確認し、中からカラストンビ(イカの口)が出てきたときは、非常に盛り上がりました。
獣医師は(当然)私一人で、内蔵の説明を求められましたが、クジラは診療したことがありませんし、時間がたちすぎて変色がきつく、さっぱりわかりませんでした。ちょうど昼になり、病院で用事があったので戻っているうちに内臓はすべてゴミ化してしまいました。メスだったので、子宮にも興味はあったのですが。

クジラの頭部には、「メロン」という脂肪組織が詰まっています。浮力調整のためのモノでしょうか。脳油とか、鯨蝋とか呼ばれており、アメリカではこれを採集するためだけに捕鯨をしていたと言います。今日は団長がメロンから染み出した脂を、せっせと瓶に詰めていました。ちなみに、袋状のものに脂がびっしり詰まっているのではなく、なんだか、モロモロの黄色っぽい組織が詰まっていました。見た目がメロンの割面に似ているのでこんな名前が付いた、と、この場ではみんな納得していました。

本来は、なるべく除肉した方があとの処理が好ましいんでしょうけど、頭に着手した時点で4時を回っており、ある程度メロンも除去はしましたが、反対側はそのままの状態で館まで運ぶことになりました。

ちなみに、肋骨や頭部がかなり破損していました。上陸させた時の損傷か、洋上の出来事かわかりませんが、ひょっとすると、海での交通事故だったのかも知れません。(これも、もっと新鮮な状態だったら推測できたのかも。)

館ではホネホネ団メンバーが、3時過ぎから待ち構えていたようです。(本来は、4時には運び出す予定でした。)夕暮れまでさらに除肉するつもりが、すぐに日暮れで、「においを楽しんだ」だけに終わってしまいました。

最初は、砂場で広さが間に合うのか、って思っていましたが、並べてみるとちょっと、でした。クジラでさえ、死ねば、骨になればあんなもの、と言うことでしょう。

昼に病院へ戻ったときも(もちろん着替えてはいましたが)臭い、と言われ、自宅ではもっとひどい言い方をされ、すぐにフロで2度ほど頭も体も洗いましたが、やっぱりなんとなく、臭います。車には着替えた服をいれていたので、さらに臭います。さて、いつになったら新鮮な体になるのでしょうか?

ちなみに、肉の溶け方はマーブルビーチのミンククジラの方がひどかった。皮の厚みによるのでしょうか?


滑らぬよう、へんに足に力を入れたり、ひたすら鉤を引っ張ったりで、体のあちこちがギシギシ音を立てています。これも、いつになったら回復するかなあ。コウモリで山を登るのとは、使う筋肉が全然違うようです。

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カレンダーに、「出張」って書いたら、怒られた。

  1. 2010/06/01(火) 08:22:38|
  2. ほねほね団|
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